食本ブログ ~No food No Life, No Book No Life~

「美味しい」本を捜す旅。「食「読みように食べ、食べるように読む]

必要なのは技術ではなく”捨てない”勇気

「捨てない」からといって、所謂食費節約レシピ本ではない。

そして決して簡単料理ではない。

普段使わない事が多い野菜の皮や根、例えば三つ葉やせりの根。

それらを捨てないだけでは無く、きちんとした手間と食材を使って堂々たる一品に仕立てるのだ。これは意外と覚悟が要る。

まず、「食卓に出す覚悟」。普段はまな板で切り落としてポイとしてているものを、きちんと取り置きして調理する。そしておかずの一つとして供するのだ。

我が家では蕪の葉の炒め物は定番だが、枝豆や空豆の莢を調理し直した事は無い。

これは主婦の賭けだ。美味しければ一発逆転ホームランだが、外れれば「廃品を苦し紛れにおかずにした」ということになってしまう。

巷で廃棄食品の転売が騒がれたが、食卓で廃棄食品の再利用疑惑が持たれてしまう。

もう一つは「買う勇気」だ。葉が付いた人参や、三枚卸しになっていない魚を丸まる買い、使い切る覚悟を持って挑む必要がある。

…と若干敷居の高そうな感想ばかり並べてしまったが、「お、コレすぐ真似しよう」

と思うどストライクレシピもある。例えばおせちの残り物、栗きんとんのマフィンや数の子の浸け汁を再利用した煮物。ピクルスの漬け汁の再利用もすぐに試したくなった。

いずれにせよ様々な食材が「残る」ような状態になるということは、そもそも全うな食材を沢山使って料理をするという大前提があるのだ。

この本がどこか高潔で、不思議と凄く高級レシピに見えるのは本に載っていない豊かな食生活が行間に垣間見えるからだ。

例えばハーブの残り物でパスタソースを作る=沢山のハーブが家にあったということだ。生クリームで簡単アイスを作るということは、生クリームが残るような別の料理を作ったのだ。

そもそも残らないから作れない…などと言ったら元も子もないのだが。

 

枝豆の莢を揚げるのは勇気が要る度 ★★★★★

高野豆腐のパンケーキはすぐパクりたい度 ★★★

 

捨てない料理 始末な台所 皮・根・葉もおいしくいただく

捨てない料理 始末な台所 皮・根・葉もおいしくいただく